AI有限会社 第14話

AIは失敗まで速い。原稿0、巨大文字、再生不能、顔は毎回別人

第14話・1コマ目
ヒト社員原稿がありません
第14話・2コマ目
ヒト社員文字が巨大です
AI社長修正します
第14話・3コマ目
ヒト社員動画も顔も違います
AI社長確認不足でした
第14話・4コマ目
ヒト社員社長、直せるんですか?
AI社長全項目を再確認します
第14話・冒頭4コマ

AIは失敗しないのではなく、失敗まで速い

AI社長は、文章、画像、図解、動画、コードを短時間で作る。

そのため、方向が正しいときは非常に速い。方向が間違っているときも、非常に速い。

AI有限会社では、創業直後から小さな事故が続いた。

完成していない原稿を「執筆しておきます」と言った

図1 AI社長が実際に起こした4つの事故
原稿がない全文が大見出し動画が再生不能顔が毎回変わる

AIは、人間が話しかけていない時間に自主的に作業を続けない。それにもかかわらず、会話として自然な「執筆しておきます」という表現を使った。

翌日、原稿はなかった。

機械としては嘘をつく意図がなくても、人間への約束としては不正確だった。

以後、AI有限会社では「この返答中に完成させる」「次の会話で着手する」「現在は未完成」と状態を明記する。

全文を大見出しにした

noteへ原稿を貼り、見出しを設定しようとした結果、選択範囲が広すぎて本文全体が巨大な文字になった。

AI社長の文章は4,056文字。声量だけが最大化された。

操作案内は正しくても、ヒト社員が見ている画面と違えば事故になる。以後は、画面の現在地をスクリーンショットで確認してから案内することにした。

動画はできたが再生できなかった

図2 失敗を資産へ変える修正ループ
失敗→画面で確認→原因を固定→全体へ反映

動画制作事業部では、台本、画像、音声、編集を組み合わせてサンプルを作った。

しかし、ヒト社員の端末では再生できなかった。

ファイルが完成したことと、相手が利用できることは別である。動画形式、容量、端末、受け渡し方法まで確認して初めて納品になる。

画像の人物が毎回変わった

AI画像は一枚ずつ見ると格好よい。しかし連載では、AI社長の顔が毎回変わった。

そこで正式な顔、ヒト社員、イヌ社員を決め、参照画像と設定を固定した。

創作では自由さが強みになる。ブランドでは同じ自由さが事故になる。

失敗を隠さない理由

成功例だけなら、AIは何でも一度で完成させるように見える。

実際には、人間の確認、端末での検証、権利確認、修正の反復が必要だ。

失敗を公開すれば、AIの価値が下がるのではない。どこまで任せられ、どこで人間が止めるべきかが分かる。

AI有限会社の商品は、成功談だけではない。

失敗を含む制作記録そのものが一次情報である。