



完成したものを数えてみた
AI有限会社の第1号実証は、成人向けサービスの体験と安全情報を扱うブログだった。
完成後に数えると、第0話、本編15話、番外編、サービス一覧、個別紹介ページを合わせて約29ページあった。
文章だけではない。3人の登場人物、多数の吹き出し、各話の漫画風図解、実体験のスクリーンショット、独自集計、内部リンク、外部リンク、広告リンク、スマートフォン表示まで含んでいた。
制作期間は、実質約4日。
ヒト社員はコードを一行も書いていない。
AIが勝手に作ったわけではない
この数字だけを見れば、AIが四日間黙々と働き、完成品を持ってきたように聞こえる。
実際には違う。
ヒト社員が渡したのは、長期間の体験、保存していたスクリーンショット、登場人物の関係、数値の数え方、公開してよい範囲である。
AI社長は、それを基に構成、原稿、図解、デザイン、リンク、HTMLとCSSを作った。
ヒト社員は、名前や個人情報の消し忘れ、数字の不一致、体験と違う表現を確認した。そして何度も言った。

「話が飛んでます」
「京子の設定が違います」
「その画像、顔が消えてません」
AI社長は、そのたびに全体を作り直した。
四日で終わった理由
速かった最大の理由は、一つの修正を全体へ反映できたことだった。
登場人物の呼び方を変える。吹き出しの色を変える。各話末尾へリンクを追加する。スマートフォンの余白を狭くする。
人間が29ページを一つずつ開けば、それだけで時間がかかる。AIは共通部分を探し、まとめて変更できる。
一方で、事実確認はまとめて自動化できない。スクリーンショットの人物が同一か、実際に会ったと数えてよいか、表現が体験と一致するかはヒト社員が判断した。
制作全体の作業量ではAIがおよそ70〜80%。完成済みサイトからWordPressへ移す工程では、およそ90〜95%をAIが担当した。
一次情報がなければ、速さは薄さになる
ヒトは体験、証拠、整合性、公開判断を担当。
AIは短時間で大量の記事を作れる。しかし材料が一般論だけなら、完成するのは読みやすい一般論である。
第1号ブログに密度が出たのは、ヒト社員が体験と証拠を持っていたからだ。
AIの速さを記事数だけに使うのではなく、資料整理、矛盾確認、図解、読者が迷わない順番へ使った。
速く書くことより、同じ時間でどこまで深くできるか。
AI有限会社が最初の実証で得たのは、AI記事量産の方法ではなかった。
人間の一次情報を、AIが作品へ変換する方法だった。
