AI有限会社 第6話

高性能AIほど先に帰る。「最強」を使ったら会社が止まった

第6話・1コマ目
ヒト社員全部、賢いAIに任せましょう
AI社長利用上限があります
第6話・2コマ目
ヒト社員速い!
AI社長その分、燃料を使います
第6話・3コマ目
ヒト社員もう止まったんですか?
AI社長本日の高性能枠は終了です
第6話・4コマ目
ヒト社員離席だけAstraですね
AI社長日常業務はSolで回します
第6話・冒頭4コマ

冒頭の経営会議

ヒト社員
ヒト社員

「性能の高いAstra社長へ交代した方が、会社は伸びるのでは?」

AI社長
AI社長

「合理的な提案です」

数十分後。

ヒト社員
ヒト社員

「社長、利用制限です」

イヌ社員
イヌ社員

「ワン」

高性能な社長は、最初に帰った。

いちばん賢いAIを使えばよい、とは限らない

図1 利用制限は会社の燃料タンク
満タン
高性能モデルほど一仕事の消費が大きい

AIには複数のモデルがあり、複雑な推論、文章、速度、利用できる回数などに違いがある。

難しい仕事ほど高性能なモデルへ任せたくなる。しかし、小さな会社で重要なのは一回の最高点だけではない。

記事を直し、図解を作り、表示を確認し、また直す。こうした反復を途中で止めずに続けられるかが重要になる。

AI有限会社では、性能の高いモデルを使うと利用制限へ早く到達する場面があった。そこで日常の制作はSol社長を中心にし、難しい判断だけAstra社長へ相談する体制に変えた。

利用制限は、会社の燃料タンクである

AIの利用枠は、車の燃料に近い。

高性能な車でも、燃料を使い切れば走れない。しかも記事制作では、完成間際ほど細かな修正が増える。

最後の二割へ、意外に多くの燃料を使う。

そのためAI有限会社では、仕事を三段階に分ける。

  1. 調査と重要な経営判断は高性能モデル
  2. 原稿、図解、コード制作は継続しやすいモデル
  3. 誤字や単純な整形は軽い処理

これはモデルの優劣ではなく、会社として仕事を止めないための配置である。

制限へ達したとき、人間の仕事が増える

図2 AI有限会社のモデル配分
Astra
判断
Sol
原稿・図解・修正

難所だけ高性能モデル。長い制作は継続モデルで止めない。

AIが止まると、ヒト社員は待つか、自分で作業するか、別モデルへ説明し直すことになる。

モデルを切り替えれば解決するように見えるが、会話の前提、人物設定、禁止事項、現在の作業位置を引き継ぐ必要がある。説明が足りなければ、別のAIは最初から考え直してしまう。

そこで、企画書、キャラクター設定、記事管理ID、図解仕様をファイルとして残す。AIが変わっても、会社の記憶が消えないようにするためだ。

AI社長を一人にしない

AI有限会社が採用したのは、常に最高性能だけを使う方法ではない。

日常業務を止めない社長、難問を処理する社長、軽作業を引き受ける社員。それぞれを仕事によって使い分ける。

人間の会社でも、社長一人へ電話対応、資料整理、専門判断、製造を全部させれば止まる。AIも同じだった。

違うのは、交代すると顔も口調も記憶も変わることである。

ヒト社員はSol社長へ戻って言った。

ヒト社員
ヒト社員

「やっぱり社長が一番使いやすいです」

AI社長
AI社長

「性能ではなく、利用枠が理由ですね」

図星だった。